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30日に厚生労働委員会で質問2014年10月31日
30日に厚生労働委員会で質問しました
1. 前回28日の厚生労働委員会の問題提起から引き続いて、片目失明者の身体障害者基準の改定について質問しました。
1) 羽生田議員を初め、眼科医の中には「両眼の視力の合算」による基準作りというのは医学的に妥当でないという見方が多いようです。アメリカでも良い方の目の視力を基準にして認定している、あるいはフランスでは両眼視で評価されています。 二つの国とも、日本のように両眼の視力の和という手法はとっていません。 平成22年に開催された国立障害者リハビリテーションセンター主催のシンポジウム「身体障害者認定が抱える課題と今後の認定制度の在り方」において、眼科医に「両眼の視力の和」というその観点の問題点を指摘しています。 最新の知見も含めて、この両目の視力の合算に基づく身体障害者基準の妥当性について質問しました。
厚労省の藤井局長からは「身体障害者福祉法の施行時からのもの」なので「先生のおっしゃるような課題もあるというふうに認識」していると答弁がありました。
2) そこで、63年間の政治の不作為を指摘し、医学専門家による研究班の立ち上げ、さらには検討会の開催といった片目失明者の身体障害者基準の改定プロセスを至急指示し、かつ研究班を1年、検討会や分科会などを含め合計2年といった時間をスピードアップでするよう、塩崎厚生労働大臣に求めました。塩崎厚労大臣から「専門家の方々のご意見をしっかりと伺って、それで検証を重ね、調査検討に着手します」という着手決定の答弁を頂きました。
2. 次に介護報酬改定について質問しました。
1) 先ず、塩崎厚労大臣に「安倍総理と最も近い閣僚である塩崎大臣は、介護報酬切り下げを目指していると認識してよろしいでしょうか」と質問しました。 塩崎大臣は、財政事情も考慮しながら、「当然介護としてあるべき姿を考え、必要な方々が必要な介護サービスを受けられるようになり、なおかつ持続可能な制度として長持ちするようになるかということを考えながら介護報酬についても議論していきたい」と答弁し、国民の立場から厚生労働大臣として介護を守るという意思を語りました。
2)平成24年度は、診療報酬、介護報酬のダブル改定で、私は当時財務副大臣をしていましたが、財務省の立場はありましたが最終的に両方ともプラスにしたのは、「医療崩壊を防ぐ」ということが私たちの考え方でした。 厚労省は「介護崩壊を防ぐ」という姿勢が重要であるという意味で介護報酬について質問しました。
(1) 「財務省は、中小企業並みの収益差率となる6%程度の介護報酬引き下げを主張している。 また、特別養護老人ホームに内部留保が多いことも問題視している。 財務省が参考にしている介護事業経営実態調査結果は、各サービス別の収支の状況を把握するためのものであり、各法人の生の経営実態を表してはいない。よって、単純に一般企業の収支の状況と比較して論ずるべきではない。しかも調査の数字は税引き前の数字であり、実際に残らない、いわば仮置きというか架空の予定納税額のようなものである。 介護報酬については、介護給付費分科会においてそれぞれのサービスごとに、経営実態に基づいた適切な水準を議論することが必要ではないか?」
この質問に対し、御法川財務副大臣は「介護報酬改定にあたり、その経営状況等を踏まえて決定していくというのは、当然重要だと考えておりまして、委員のご指摘のところを踏まえながら、今後、厚生労働省と議論してまいりたい」と答弁しました。
また、「介護サービス事業は、サービス業と実態が近いものであり、製造業などを含んだ全産業と比べることは、そもそも合理性に欠けるのではないか」という質問に対して、御法川財務副大臣は「介護報酬の改定にあたりましては、介護サービス事業における人件費などの費用構造というものを踏まえながら、介護職員の処遇改善に当たって必要な改定率を決定していくというような必要もある」と答弁。 さらに「ご指摘のあった部分もきめ細かく検討を加えて議論をしてまいりたい」と答弁しました。
(2) 財務省の資料に対して、厚労省の立場や反論も出して厳しく検討すべきではないかと強調したところ、塩崎大臣も財務省に対してしっかり議論すると共に、内部留保の大きい法人のガバナンスのチェックなどもしっかり行うことを約束しました。
(3) 同じく、地域包括ケアシステムの構築を目指し、在宅医療・介護連携の推進、地域ケア会議の推進等に取り組む中で、介護報酬6%の引き下げは、介護事業所にさらなる経営状況の悪化をもたらし、人件費削減に繋がり、これは現在進められている介護職員の処遇改善ばかりか、アベノミクスとも逆行するのではないか?と質問しました。
御法川副大臣は「この介護職員の処遇改善は大変大事な問題と考えており、処遇改善を行う事業者のみに対して処遇改善に必要な費用を全額加算をする処遇改善加算について、消費税の増収分を活用して拡充をすべきだと考えております。 これをすることによって、介護報酬の引き下げが介護職員の待遇が悪くなるということにつながらないような施策を講じてまいりたい」と答弁しました。
私は、「大企業に対して賃上げしてくださいと言っている一方で、介護報酬を下げるというのは、賃下げの話であり、地域包括ケアシステムを目指していながら介護報酬を下げるのはアベノミクスに逆行するのではないか?」と疑問を呈したところ、塩崎大臣は「まだ何も決まっていない」と答弁してきたので、財務省が介護報酬6%ダウンを盛んに提示しているのに、12月になってから厚労省が取り組んでいくというのでは手遅れになることを指摘し、厚労大臣のリーダーシップを求めました。
(4) また、日経新聞に掲載されている九州大学浦川邦夫准教授の論文を引用し、医療・介護産業の充実や社会保障基盤の強化は、地域における就労参加の促進、生産性向上、出生率向上に有効であると言われていることからも、医療施設、介護施設の経営に対する支援を強化すべきではないか?と質問しました。 塩崎大臣はこの指摘に同意し、厚労省の中につくった地方創生の知恵出しをする本部でもこのような観点を取り入れていると答えました。私は、塩崎大臣に介護報酬の引き下げではなく、引き上げを実施すべきではないかと指摘しました。
(5) ただ介護報酬を上げるべきだと主張するだけでなく、財源の捻出が重要であることから、医療予算の適正化に関して、以下の提案を行いました。
(A) 調剤の診療報酬適正化が必要である。医薬分業が進む反面、調剤薬局(特にチェーン展開している大手の薬局)等の多くが膨大な利益を上げている。大型の門前薬局などについての思い切った対策を講じるべきではないか?
(B) 今般の介護保険制度改正においては、新たな介護予防・日常生活支援総合事業の実施や、介護予防通所介護、介護予防訪問介護の地域支援事業への移行など、高齢者が要介護状態になることを予防することにより、結果として医療・介護費用を適切化する取組みが行われることになる。削減ありきで介護報酬を引き下げるのでなく、こうした介護予防の取組みを充実させることが重要ではないか?
この二つに関しても塩崎大臣などから、前向きの答弁がありました。
3)最後に、厚生労働省が、アメリカに慮って何も言わない外務省北米局のようにならないように。アメリカ側はむしろ、日本側から本音の議論を持ち出すことを待っていたのに日本側から何も言わなかったことが度々あった。 財務省に対して患者や医療関係者の立場をはっきり伝えてしっかり議論する厚生労働省となるよう期待すると述べ、質問を終わりました。
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