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参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録2014年05月22日
活動報告
2014年5月22日
参議院外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録
○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
ちょっと順番を変えさせていただいて、小泉政務官は最後の方に質問をさせていただきます。
まず、世耕副長官がいらっしゃっておりますので、質問通告の以前に、昨日の参議院本会議場において起きたことについての事実関係について、まず説明をいただきたいと思います。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) ちょっと通告いただいていませんでしたが、事実関係ということでありましたら、参議院議員全員にお配りをしていた厚生労働大臣の法案に関する趣旨説明の紙、これが、中に本来この法案に関係のない文言が入っていたということでございます。
○藤田幸久君 それを気が付いて、副長官が指摘をされたということでああいうふうになっていったわけですが、それで、結果的に、実はこの委員会は条約を審議をしておりましたが、昨日、本会議が開催できなかったということで、この三条約が自然承認になってしまったということで、実は冒頭、委員長の方からその事態に対して遺憾の意を表明され、厚労副大臣がこの委員会で謝罪をされたという経緯があったわけですが、その事実を指摘されたこと自体は当然の職務だろうと思いますが、結果的に副長官も属されている参議院が実はそういう立場を失ってしまってということ、そういうことになり得るということは、その段階で想定をされて指摘をされたんでしょうか。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 当然、資料に間違いがあることに気が付いたら、その時点で是正すべきだという私はその思いで動いたわけでございます。
厚生労働省の作っていた資料に結果として重大な間違いがあって、そのことで参議院の審議に大きな影響を与えたということはもう大変申し訳ないことだというふうに思っております。
○藤田幸久君 そういう大変な事態でございましたので、政府としてあるいは官邸として、その重みを受け止めてこれからも対応していただきたいというふうに思っております。
次に、横畠法制局長官にお伺いをしたいと思います。
以前、長官は、長官に就任前でございますが、憲法解釈変更はおよそ不可能という前提には立たないというふうに答弁されておりますけれども、それでは、集団的自衛権行使容認のための政府解釈変更は可能な場合があるとお考えでしょうか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 憲法の解釈及びその変更についての考え方につきましては、既に御答弁申し上げているとおり、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書でもお答えしているとおりであり、あえて引用は避けますけれども、その趣旨でございます。ただ、それは一般論としてお答えしているところでございます。
今般のいわゆる限定的な集団的自衛権の行使等の問題につきましては、今後、政府・与党において具体的な事例に即して更に検討を深めることとされており、お尋ねについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。
○藤田幸久君 では、いわゆる政府の基本的方向性というものが出ましたが、で、総理自身が会見をされたわけですが、いわゆる政府解釈変更のその準備といいますか、指示がその後、政府側から法制局に対してあったのかどうか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 内閣法制局としては、今後行われる政府内での検討、あるいは与党との協議等の過程におきまして、適切に意見を述べるということがその職責であろうと考えております。
お尋ねの点につきましては、内閣法制局として憲法解釈の変更を前提とした準備の指示を受けたということはございません。
○藤田幸久君 では、前提としないこの変更の準備に関する指示は政府側からあったんでしょうか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 総理がお示しになられた基本的方向性などにおきましても、内閣法制局の意見を聞いてという言及がございますので、当然それに備える準備というのはしているところでございます。
○藤田幸久君 いや、答えてください。しているかどうかを聞いているんじゃなくて、指示があったかどうかを聞いているんです。イエス、ノーで答えてください。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 何をもって指示と受け止めるかですけれども、特にせよということがなくても当然すべき、行うべきことは行うということと理解しております。
○藤田幸久君 つまり、指示はないんですね、今までのところ。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 指示がないとなかなか言い切るのも難しいところで、当然、あうんと言っては語弊がありますけれども、当然、内閣法制局はその役割を果たせという総理の御意思でございましょうし、我々といたしましてもそれを受けて所要の準備もするということでございます。
○藤田幸久君 じゃ、意思を長官及び法制局が自動的にそう受け止めて、御自分方でスタートしているということですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 先ほどもお答えしたとおり、内閣法制局の意見も聞いてというふうに言及されておりますので、当然そのようなことだと理解しております。
○藤田幸久君 時間の関係で先に行きます。
内閣がこの憲法解釈を変更するということですが、憲法九十九条に憲法尊重擁護義務というのがあるそうですけれども、そうすると、これに違反するのではないかと。つまり、政府が必要性に応じて憲法の内容を解釈を変更するということは、立憲主義からいっても問題があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。この九十九条との関係。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘のように、憲法第九十九条は公務員の憲法尊重擁護義務を定めております。行政府におきましてもそのような規定があること、また、遡ればいわゆる立憲主義の原則もございますので、行政府がその権限を行使するに当たっては、憲法を適正に解釈していくということが当然の必要でございます。
このような行政府としての憲法の解釈につきましては、当局も必要に応じて意見を申し上げますが、第一次的には法律の執行の任に当たる行政機関が行い、最終的には、憲法第六十五条において「行政権は、内閣に属する。」と規定されているとおり、行政権の帰属主体である内閣に帰せられるものであると理解しております。
○藤田幸久君 ちょっとおかしい気がいたしますが、先に行きます。
今度は世耕副長官にお伺いしたいと思いますが、総理は会見で、その報告書の中にあります、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方で、必要最小限度の武力の行使は許容される、こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方ですと述べていらっしゃいます。
しかし、今まで、今日も説明ございましたように、政府解釈では集団的自衛権は保持するけれども行使できないと今までしてきたわけですが、では、政府は従来から憲法九条は限定的な集団的自衛権行使を許容していると考えていたのか、それとも、今回の報告書にあるように、いわゆる安全保障環境が変化したことの必要性があるので、これまでは許容されていなかったけれども憲法九条の内容を変えることができると考えているのか、どちらでしょうか。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 今、藤田委員御指摘のとおり、集団的自衛権に関する従来の政府の憲法解釈は、我が国は、国際法上いわゆる集団的自衛権を有しているとしても、これを行使することは憲法上許されないというものであります。
一方で、五月十五日に政府の方へ提出をいただいた安保法制懇の報告書においては、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方が示されました。
この考え方は、憲法第九条はその文言からいうと国際関係において武力を行使することを一切禁じているように見えるが、憲法前文あるいは憲法第十三条の趣旨を踏まえれば、自国の安全と平和を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置は禁じておらず、そのための必要最小限の武力の行使は許容されるとの従来の政府の基本的な立場を踏まえたものでありまして、政府としては、この考え方について更に今後研究を進めていくことになると思います。
その研究を進めていくに当たっては、今委員が御指摘のように、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しく、今後も変化し続けることを踏まえて、国民の命と暮らしを守るために今どのような備えをし、抑止力を向上するかを真剣に検討する必要があるというふうに考えております。
ただ、いずれにしろ、現時点では憲法解釈を変更する必要があるか否かを含めて、政府としての対応、見解は何ら決まっておりません。安倍総理が示された今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づいて、与党とも十分に協議をしていくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 そうしますと、今まではいわゆる限定的な集団的自衛権を許容していないと考えていいわけですね。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) ですから、従来の政府解釈は、集団的自衛権については国際法上有しているけれども、行使をすることは憲法上許されないというものであります。
○藤田幸久君 そうすると、この報告書等で砂川事件判決が例示をされておりますが、先ほど来の質疑にありますように、状況が違った段階での前提が違った事例であります。それから、四十七年の報告書、これも集団的自衛権が行使ができないということなわけですが、こういう資料を使っているということは、今これから検討していくということの逆の資料じゃないんでしょうか。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) いずれにしても、報告書をいただいて、それに基づいてこれから与党で議論をしていただくということでありますから、今のところ、私の方からちょっと予断を持ったお答えはできないということであります。政府としての対応はこれから決めていきたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 状況が変わったということの一つの事例として、一九六〇年の参議院予算委員会で岸信介元総理が、一切の集団的自衛権を持たない、憲法上持たないということは私は言い過ぎだというふうに考えておりますと、そうおっしゃった一方で、他国に基地を貸して、そして自国のそれと協同して自国を守るというようなことは、当然従来集団的自衛権と解釈され、そういうものはもちろん日本として持っているとおっしゃっておられます。
現在、今政府として、日米安保は集団的自衛権の範囲に含まれるとお考えでしょうか。これは外務大臣ですね。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、集団的自衛権、国際法上ですが、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力行使を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。
政府としましては、日米安全保障条約第六条に基づく施設・区域の提供及び米軍の我が国への駐留、これは実力の行使には当たらないと認識をしております。よって、これは集団的自衛権の行使に当たらないと解しているところであります。
○藤田幸久君 そうしますと、安倍総理が、岸元総理は集団的自衛権を否定しなかったということでお話をされたりしておりますけれども、当時の岸元総理のときの集団的自衛権の概念は、今外務大臣がおっしゃっていただいたこととそもそも前提が違っているんじゃないでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 当時のこの岸総理の答弁を見てみますと、当時、これにつきまして様々な議論が行われていた、こういったことについても紹介をされておられます。当時の岸総理のこの答弁につきましては、様々な議論があったこの当時の状況に基づいての発言だというふうに認識をしております。
政府としましては、自衛権に対する考え方、先ほどの答弁にもありましたように、昭和四十七年の政府見解以降この政府見解を確立し、そして今日に至っていると認識をしているところであります。
○藤田幸久君 したがって、当時の岸元総理がいわゆる集団的自衛権というのは持っているとおっしゃったという内容はまさに施設・区域等の話ですから、今の段階で岸総理がこうおっしゃったので否定していないということには、そもそも話の内容が違うわけですから、例示としては不適当ではないかということを申し上げているわけです。いかがでしょうか。あるいは法制局長官、お答えください。
例示の内容が違いますよね。当時の岸さんがおっしゃっていた、つまり施設・区域をもって集団的自衛権を持っているとおっしゃったということと、今は日米安保は集団的自衛権のこの範囲に含まれない、先ほどのお話では、端的に言うと。そうすると、内容が違うわけですよね、当時の岸さんがおっしゃっていたことと、今、安倍総理が引用していることは。いかがですか。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 引用が適当かどうかについて私の方から意見を申し上げることは差し控えさせていただきますが、先ほどもお答えいたしましたけれども、現在は、自衛権といいますのは実力の行使に係る概念であるというふうに整理されていると理解しております。
○藤田幸久君 つまり、実力の行使と施設・区域の違いということで内容が違っているということを確認をしておきたいと思います。
その内容の違い、前提が違うということとは違って、一種のすり替えみたいな話が、先ほど来、福山委員も質問されておられました総理の会見でございます。赤ん坊を抱えた女性の乗った米国の船の防御ということで、安倍総理は会見で、日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈ですとおっしゃったわけですが、政府として、日本人が乗っていない米国の船は集団的自衛権行使の対象にならないということでよろしいんでしょうか、世耕副長官。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 今後、政府・与党で具体的な事例に即して検討を深めていただくことになるわけでございまして、安倍総理が記者会見で言及をされた日本人輸送中の米輸送艦の防護の事例も含めてどのような事例を検討していくかについては、今後、与党と調整することになります。
現時点では、大変申し訳ないんですが、政府として個々の具体的事例に関する検討について与党の協議の結果を待ちたいというふうに考えておりまして、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○藤田幸久君 総理が、しかもテレビの前でパネルまで使って情緒的に国民に訴えようとした事例であります。その前提として、日本人が乗っているか乗っていないかによって違うと思うわけですが、少なくとも二〇〇八年の四類型あるいは今回の六つの事例ともこの対象とすれば、日本人が乗っていない場合も対象になるという前提があるんじゃないですか。だから、事例を総理が説明するに当たって、日本の赤ん坊を抱えた女性がなくても議論の政策的な内容としては変わっていないはずなんですが、いかがですか。非常に大きな質問であります。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 総理は会見で、あくまでも一つの例として……(発言する者あり)
○委員長(末松信介君) 静粛に。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っている米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈ですという例示を述べました。
今後は、このことも含めてどのような事例を検討していただくか、当然、総理が申し上げた事例についてはしっかり御検討をいただくことになるというふうに思いますが、個々の具体的事例に関して検討の結果がどうなるかというのは、私は現時点で予断を持ってお答えすることはできないということでございます。
○藤田幸久君 総理がテレビの前で例示をしたということは、これから検討しますからと例示を示しているんではなくて、まさに赤ん坊を抱えた日本の女性がいて、これを憲法上守れないんですと言っているわけですが、あそこに日本の人が乗っていなくても、これ憲法上守れないというのは同じなわけですよね。その確認をしてください。これは今後の検討ではなくて、現在の法律において、日本人が乗っていなくても守れないと、憲法上ですね、これが憲法の現在の解釈ですという事実について。
解釈の事実については、じゃ、長官、答えてください。
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 現在の法律におきましては、その事例で示されております邦人輸送中に限らず、そのような米艦を防護するという根拠の規定はございません。
○藤田幸久君 つまり、邦人輸送に限らずというふうに法制局長官言っていただいたとおりでありまして、そもそも日本人を守るためであるならば、個別的自衛権あるいは警察権等で対応ができるはずでありまして、したがって、総理が使われたあの事例は日本人が乗っていなくても憲法上守れないということであるということを確認を、今法制局長官からあったわけですから、確認をさせていただきたいというふうに思っております。
それでは次に、この事例の話が出てきましたけれども、私の資料の三枚目、これも先ほど御説明があったような、政府の方で作った事例であります。ここで総理は、日本自身が攻撃を受けていなければ日本の自衛隊は守ることができない、これが現在の解釈ですと。
それで、憲法解釈上の問題点として、今我が国として取ることができない事例としているわけですけれども、この六つの事例について、今は可能でないという根拠を示していただきたいと思います、全部事例ごとに言っていただくと時間が掛かると思いますので、共通の根拠があれば共通の、それから一、二の事例を挙げて副長官の方から答えていただきたいと思います。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) これ、安保法制懇の方から憲法解釈の現状と問題点ということでこの六つの事例を挙げた上で、これが今具体的な行動を取ることを可能とすべきという指摘が行われているわけでございます。
現時点でこの報告書に挙げられた事例について、政府としてまだ詳細な検討を行っているわけではありませんが、一般論として申し上げれば、この①から④までの事例、この四つの事例が、外国に対する武力攻撃は発生しているけれども我が国に対する武力攻撃はまだ発生していないと理解される事例というふうに取れば、従来のこれまでの政府の憲法解釈に従えば、基本的には我が国としての武力の行使を行うことは憲法上許容されないということになろうかと思います。
また、⑤、⑥の事例については、報告書においては武力攻撃に至らない侵害に係る事例として挙げられておりまして、これらに対応するに当たっては、現行法の規定では権限上あるいは時間軸での隙間が生じる可能性があるというふうに指摘をされているというふうに考えております。
一般論として申し上げれば、政府としても武力攻撃に至らない事態に対して切れ目のない対応を可能とする観点から、国内法制について不断に検討し、より一層の改善を行っていく必要があるというふうに考えております。
いずれにしても、政府としては、安倍総理が示された今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づいて与党と十分に協議をしていくとともに、法制局の意見も踏まえながら対応を決めてまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 この六つの事例は、個別的自衛権では対応できないでしょうか。
○政府参考人(武藤義哉君) ただいま副長官の方からお答えありましたように、①から④までの事例、これは、一般的に申し上げれば、我が国に対する武力攻撃が発生していないと解される事例なのであれば、従来の憲法解釈に従えば、基本的には我が国として武力の行使を行うことは憲法上許されないというふうに考えているところでございます。
⑤と⑥については武力攻撃に至らない侵害ということでございますので少々違うと思いますけれども、そこは切れ目のない対応を可能にするという観点から検討していくと、そういう課題であるというふうに理解しております。
○藤田幸久君 今までのロジックと、ではこの六つを今後集団的自衛権で対応できるというふうにすれば、じゃ六つがそっくりそのままできるというふうになるという因果関係というか、ロジックが分からないんですが、どなたか説明してください。
○政府参考人(武藤義哉君) 報告書の中でこういう事例、今までの武力行使に関する憲法解釈上できないのではないか、あるいは、武力行使の問題では必ずしもないけれども武力攻撃に至らない侵害の例でこれは切れ目のない対応が必要だと、そういうものとして挙げられているところでございますけれども、政府としては、いずれにいたしましても、この報告書を受けましてまた今後検討してまいるということでございますので、この検討の結果の結論については予断を控えたいと思います。
○藤田幸久君 ちょっとまあ非常におかしいですが、先に行きます。
国連の集団安全保障措置でございますけれども、総理は会見で、国際法上合法な活動には憲法上の制約はないというその法制懇の報告書に対して、これはこれまでの解釈とは論理的に整合しない、私は憲法がこれらの活動の全てを許すとは考えていませんと発言しておられます。ところが、その直後に石破自民党幹事長は、将来の多国籍軍への参加などに可能性があるような発言をされているんです。
そこでお聞きをいたしますが、政府としては、憲法九条上、武力行使との一体化の例外として国連安保理決議に基づく多国籍軍への参加などは許容されると考えているのか。
つまり、安倍総理の会見は、憲法九条上許容されるけれども政権の判断として採用しないというふうに言っているのか、それとも、そもそも憲法九条上許容されないとしているのか、どちらでしょうか。副長官、お願いします。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) この多国籍軍への参加に関してでありますが、まず、これまでの政府の立場は、自衛隊の活動が武力の行使に及んだり他国の武力の行使と一体化することがないという前提を確保することが可能であれば、自衛隊がいわゆる多国籍軍の中で活動することは許されないわけではないというものであります。
これに関して、五月十五日の安倍総理の記者会見で、安保法制懇の報告書にある提言のうち、国連の集団安全保障措置といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はない、これが法制懇の報告書の提言の中身ですが、この部分に関しては政府として採用できないという旨を安倍総理の方から述べさせていただいております。
その上で、安倍総理は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方について、今後更に研究を進めるとの立場を明らかにしたわけであります。
いずれにしろ、現時点で、この問題も含めて、憲法解釈を変更する必要があるのか否かを含めて、政府としての対応は何ら決まっておりません。総理が示された基本的方向性に基づいて、まずは与党と十分協議をして、法制局の意見も踏まえて対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
○藤田幸久君 つまり、突き詰めると、解釈を変更して多国籍軍へ参加することも可能にすることができるということをおっしゃったわけですよね。
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 総理は会見では、そこの判断は、そこの憲法上の解釈とか、そういったことは示されていない。私はもう会見を説明するしかできませんが、総理は会見では、あくまでも、この国連の集団安全保障措置といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないという法制懇の報告書にある提言の部分は政府としては採用できないという旨を述べたということでございます。
○藤田幸久君 非常に、何というんですかね、ミスリーディングだろうと思うんですが、例示とすれば、パネルを使ったりして今までこれだけできなかったんだと、これを変えていけばこういうふうにできるんだとおっしゃっていて、中身の話に行きますとこれからだと言って、それから、官邸なり政府の方から法制局の方に指示もどうも出ていない、明示的には。
それで、しかも、今までの解釈に基づけばできないこと、できないと言っていながら、これから変えていく可能性がある。では、解釈を変える可能性があるんですなと聞くとそれは答えないといいますと、国民も混乱しますし、この議会が何であるのかということ。
今日の午前中だけ聞いておりましても、これは大変命、国民を守るという観点から、極めていろいろな不備が余りにも多過ぎるということを指摘をしておきたいと思っております。それをしっかり整理をしていただきませんと、せっかくこの国会で審議をしていても、基本的なことについて議論ができないんではないかということを申し上げておきたいというふうに思っております。
それで、時間がありませんので、一つは、これも何回も私も委員会で特に防衛大臣に質問してまいりましたけれども、いわゆる事例を挙げながら合憲可能とすべきだというふうな、先ほどの六つも言っているわけですけれども、ということは、いわゆるネガティブリストを念頭に置いているのかなと、今後はですね。そういう印象も持っているんですが、政府におかれましても、ネガティブリストの考え方によってこれから議論を進めていかれようと思っているのかどうか、これは防衛大臣の方でちょっとお答えいただけませんでしょうか。
○国務大臣(小野寺五典君) 私が答弁の適当かどうかは別として、今御質問がありましたので答弁させていただきますと、現時点では、憲法解釈を変更する必要があるか否かを含め、政府としての対応は何ら決まっておりません。安倍総理が示した今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づき、与党と十分に協議していくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての対応を検討していくということであります。
いずれにしても、国民の命と暮らしを守ることは政治の最大の責務であり、今後、政府・与党において具体的な事例に即して更なる検討を深め、国民の命と暮らしを断固として守り抜くために切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備するということであります。
そして、御指摘のようなリストを作成するかどうかについても、現在、政府としての対応は何ら決まっていないと承知をしております。
○藤田幸久君 済みません、最後に小泉政務官、シンガポールにおけるTPP閣僚会議における交渉の内容と成果についてお答えいただきたいと思います。
○大臣政務官(小泉進次郎君) 今回、シンガポールでの閣僚会合の結果ですけれども、十九日と二十日に行われました結果、各国間の二国間の交渉を加速して、閣僚間で交渉全体の進捗を評価することを目指して、市場アクセス、ルールの双方で残された論点について交渉が前進するよう全体会合で議論を行いました。
その結果、今後の作業については、分野ごとに、事務レベルで決着すべき論点、閣僚レベルで決断すべき政治的課題に仕分をして、交渉官にしっかりとマンデートを与えて交渉させることにしました。さらに、七月に首席交渉官会合を開催するよう指示を出して、それまでの間にしっかりと事務レベルで協議をし、詰めるところを詰めて、閣僚間で調整をすることは可能な限り少なくしていこうということで進めました。
また、全体会合に加えて、閣僚が出席していた各国とのバイ会談も行いまして、アメリカを含む八か国とのバイ会談も行いました。
市場アクセスについては、各国が二国間交渉を通じて、物品だけでなくてサービス、投資、政府調達、一時的入国など市場アクセス全般にわたって精力的に交渉を進めました。八か国と二国間交渉を行って、実質的な協議を今回も進めました。
ルール分野については、知的財産、国有企業、環境について作業の進捗状況の報告を受けて、更なる議論を行っていくこととしました。
日米間においては、甘利大臣とフロマン代表が全体会合が始まる前に会談を行って、全体の閣僚会合の進め方、そのための日米協力の方法について意見交換を行いました。また、残されている日米の課題については事務レベル協議を進めるため、事務レベルの折衝を精力的に行いました。日米間の懸案の解決に向けて、これからも事務レベルで引き続き折衝を続けてまいります。
交渉は大きな山場で、最終局面を迎えてきていますので、七月の首席交渉官会合に向けて事務レベルで詰めるところを詰めて、これからも精力的に交渉に当たってまいりたいと思っております。
○藤田幸久君 終わります。ありがとうございました。
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