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  • 【2010年11月29日】

     


    「日本権力構造の謎」などの鋭い分析で有名なオランダのジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の講演会が11月24日、参議院議員会館で開催されました。鳩山由紀夫前首相が民主党議員に呼びかけたもので、江田五月前参議院議長、平野博文前官房長官、山田正彦前農水大臣、中井洽前国家公安委員長、荒井聡前国家戦略担当大臣など50名近い国会議員が駆けつけ「民主党の政権担当能力を妨げた内なる構造と外からの力」というテーマで1時間半にわたる講演と質疑応答が行われました。


     


    これは先日、私がウォルフレン氏を旧知の鳩山前首相にお連れしたところ、自分1人で聞くのではなく是非多くの議員に聞いて欲しい、と望まれ、講演会の開催に至ったものです。微妙なニュアンスもあるのでとの彼の要請で、私が通訳を務めました。


     


     鳩山さんは、挨拶の中で「日米同盟と金科玉条のように言われているが、米国が日本をどのような目で見ているのか、真の意味での信頼関係があるのか、根源的なところが問われなければならない」と述べました。


     


     以下が、講演の概要です。


     


    1 「日本の独立性の欠如は、新たな国際情勢の下で、より深刻と化した」


     


    ・アメリカの成り立ちや意思決定構造は大きく変化し、世界における役割が変わった。近年軍国主義が鋭く増大した。


    ・同様に欧州の独自性も減少した。同盟国でありながら、アメリカから相談されることはない。NATOはアメリカの利益を行使するための道具と化した。欧州独自のポスト冷戦体制を構築することができない。戦後の欧州の経験や独自性やユーロの価値の崩壊を意味する。


    ・日本の状況はもっと深刻。日本外交は発展途上中。中国は日本をまともに扱わない。


     


    2 「民主党がこうした問題に独自に対処することを妨げた内・外の動きがあった」


     


    ・民主党政権誕生時から、内外の政治環境が最善であっても、政権担当が難しい国内の負の政治構造と文化を継承していた。


    ・政治主導を担う舵取り(ハンドル)の構築が必要だった。山形有朋は、選挙で選出された政治家の活動を妨害する官僚機構を作り上げた。今もこれが日本の政治を動かしている。


    ・こうした問題をまともに取り扱う仕組みと場がない。政策について論じるメディアの伝統がない。派閥政治ばかり報じる。


    ・メディアと検察による免疫システムが日本に根付いている。


    ・昨年1月に私は小沢一郎は総理になることは許されないと予測していた。何か悪行をしたということではない。小沢一郎は現在のシステムに対する脅威であるということに対する抵抗が起きるということである。ワシントンからの妨害もあった。アフガニスタンでのアメリカの失敗も予想できた。鳩山政権の崩壊も予想できた。


    ・ワシントンは日本が中国と親密になることを望んでいない。米国は、米国が敵とみる国を包囲するために、以前よりも日本を必要としている。


    ・沖縄海兵隊のイラクやアフガニスタンへの出撃は日米安保条約違反である。


     


    3 「アメリカの最も重要な外交・安全保障の諸機関は、制御不能と化した」


     


    ・軍産複合体の台頭と自己増殖。自己保存のために世界中に1000箇所以上の基地を配備。300兆円の年間予算。


    ・様々な利益団体を支える予算が必要。世界全体を不安定化している。


    ・アメリカがリーダーシップを持っているというのは幻想に過ぎない。


    ・アメリカは、かつては秩序と安全を維持する存在だった。しかし、今は混乱をもたらす存在。


     


    4 「民主党国会議員は、この悲劇的状況をどう捉え、いかに対応するのか?」


     


      地域の安定はもはや存在しない。アメリカは東アジアの軍拡競争を防ぐことはできるが、長期的な政治戦略を持たないために、地域を不安定化させている。


      アフガニスタンなどでの軍事作戦も、勝利を目指したものではなく、軍産複合体による軍事活動の継続を自己目的化している。アメリカは紛争を必要としており、そうした紛争が各地で起こることを認識すべきである。


      アメリカのジャパン・ハンドラー達は、未熟な日本外交には興味がない。


      自民党時代の現状維持を最優先する専門家やアドバイザーに依存した外交の転換が必要。


      日本は平和志向の政治をもっと主張すべきである。


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