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Imad Karamからの手紙「悪夢の中に生きる」2023年10月20日

パレスチナ人友人Imad Karamさんからの手紙を紹介します。彼は英国からガザにバスで向かう予定でしたが断念せざるを得ませんでした。 彼は724スイス・コーのIC世界大会での会議の司会役でした。(写真左)。これにはニジェールのHadizatou Yacouba Ousseini鉱山大臣(私の右)も出席しました。彼女はこの直後軍事クーデターで身柄を拘束され、その後解放されました。

友人の皆さん、

個人的なメッセージで申し訳ありません。この恐ろしく悲劇的で恐ろしい時期に、私やガザの家族のことを心配して連絡をくれた皆さんに、個別にお返事することができません。

悪夢のような日々を送っています。感覚が麻痺し言葉を失っています。沈黙する世界の前で、私の家族とガザの罪のない人々に何が起きているのか、胃が痛みます。

  私のいとこのナグワと、彼女の兄のサミール、そして彼の妻と子どもたちが、イスラエル軍の空爆によって自宅で殺害されました。私の親戚52人と110万人が、イスラエルから南部への避難を命じられました。何十万人もの人々が避難し、その途中や避難先でも殺されました。私の両親と3人の兄弟とその子どもたちは、行くところがなく家を出ませんでした。私の両親は高齢で体が不自由で、他の何百人もの人たちと一緒に路上や学校で野宿することはできません。だから、彼らは何が起ころうとも、自分たちの運命を受け入れています。他の家族は家を離れ、どこにいるのかわかりません。   

 母、父、姉、兄と話すたびに、彼らはとても怯えていまし。その恐怖の大きさは、イスラエルが過去にガザで行ったどの戦争でも経験したことのないものです。一家は飲み水がなくなり、飲めない水を使って料理をしています。もちろん電気もありません。

私が故郷を離れて英国に渡ってから21年間、これほど家族のことを心配したことはなかったし、イスラエルの野蛮な冷酷さがここまで達するとは思ってもみませんでした。イスラエルのガザに対する戦争は、復讐や報復の域を超えています。

ガザに家族のいる私の知るパレスチナ人は皆、友人や家族が殺され、同じような目にあっています。私たちは皆、絶望し、支援もなく、無力なまま見守っています。

イスラエルを積極的に支援し、武器を送っている、パレスチナに対する欧米の指導者たちの姿勢には、あきれ果てています。アメリカ政府の対応は予想した通りですが、ヨーロッパには、もっとましな、アメリカ以上のものを期待していただけに、私は大きな疑問を抱かざるをえません。

私は本当に欧州とその指導者達に期待していました。平和と理性の代弁者となり、正しいことのために立ち上がってくれることを。政治的解決の必要性と、暴力はイスラエル人にもパレスチナ人にも平和や安全をもたらさないということを、知らせるために。しかし、私が目にしているのは、ガザにおけるパレスチナ人の大量虐殺です。イスラエル政府関係者から聞こえてくるのは、ガザの住民を国境を越えてエジプトのシナイ半島に移動させたいという意思です。NAKBA(注:1948年のイスラエル建国に伴い大量のパレスチナ難民が発生した大惨事)の再来のようです。ガザの住民の70%が1948年に故郷を追われた難民だということを、どれだけの人が知っているでしょうか?

私は、イスラエルによって流され、西側の指導者やメディアによって繰り返される偽情報や有害な嘘にショックを受けていますが、驚いてはいません。なぜイスラエルは、国際法や国際人道法における明白な違反行為から、しかも長年にわたって逃れられるのか。なぜ西側諸国は黙っているだけでなく、実際に武器を提供しているのか。それが民間人向けに使用されることを知りながら。なぜ私たち(イギリス)が最初に引き起こした問題を解決するために明確な圧力をかけないのか? 

ガザの230万人に対する意図的な集団的懲罰に対する無策は、国際社会の道徳意識に泥を塗るものです。集団的懲罰は、政治的に弁解の余地はなく、国際法に違反するものです。言うまでもなく、集団処罰によって平和に近づくことはなく、少なくとも長期的にイスラエルやイスラエル人に安全をもたらすことはありません。

私は自問します。なぜ、自分たちの国土のために戦うウクライナ人は自由の戦士と呼ばれ、占領者を撃退する彼らの権利は正当に賞賛され、擁護され、彼らの家族はここイギリスやヨーロッパ中で歓迎されるのに対し、国際法の下で不法占拠に抵抗するパレスチナ人はテロリストと呼ばれ、民間人全体に対する軍事行動は合法的とされるのでしょうか?これまでに殺された800人以上の子どもと600人以上の女性は、巻き添え被害と呼ばれるのですか?なぜイスラエルには自衛権があるのにパレスチナにはないのか?なぜイスラエル人には安全保障の権利があるのに、パレスチナ人にはないのか?

パレスチナ人の正義と安全に対する権利は、イスラエル人の安全に対する権利と同等に重要であるべきです。現状維持は、道徳的に擁護できません。道徳的に間違っていることが、政治的に正しいということはあり得ません。

パレスチナの状況は、南アフリカのアパルトヘイトを超えています。それなのに、「人権」を擁護する文明化された西側諸国は何もしていない。いや、何もしないどころか、積極的に占領者を支援し、アパルトヘイトを支持している。それを75年間行ってきた。では、どう結論づけるのか?このことは、世界統治の最高レベルにある西側諸国が「他者」に対して人種差別的な偏見を示していることです。あるいは、彼らはまだ聖戦を戦っているのでしょうか?

胸が悪くなります。私の妻(注、英国人とエジプト人子)はこう言います。「裏切られた気分だ。怒りを感じる。私たち西洋人は、偉大で、文明的で、自由で、自分たちが道徳的に優れていると考え、しかもそれを世界中の人々に説いていることと、実際の振る舞いとは異なっている。私たちのダブルスタンダードは、私たち西側を除けば、誰の目にも明らかだ。」

すべての命が重要であり、すべての暴力は非難されるべきです。パレスチナの人々は、長い間、土地を奪われ、占領され、不安定で支配されてきた苦しみに終止符を打つべきです。紛争の根本原因に対処しなければなりません。

Imad Karam(個人の意見です)