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9.11への取り組みは犠牲者の視点から2009年09月24日
9.11への取り組みは、犠牲者の視点から
2001年9月11日の同時多発テロから8年以上が過ぎました。私がこの問題を取り上げてきたのは、24人の日本人犠牲者を含む3千人近い無実の人々の命が失われたにも拘らず、その多くのご家族などの要請にも拘らず、その事件の事実関係、犯人の実態、アメリカ政府の報告などについての多くの疑問点が明らかにされていないからです。
また、この9.11を機に、アフガニスタンやイラクでの戦争で数十万人とも言われる無実の市民が殺され、9.11の被害者以上のアメリカ兵が犠牲になっているという悲劇があります。こうした事実や、昨年からのアメリカ発の金融危機も含め、ブッシュ政権による「テロとの戦い」と「戦争経済」の検証への動きが、米国議会や国連機関などでも始まっています。
ところで、週刊文春 2008年1月24日号において、『「9・11」陰謀説をブチあげた民主藤田幸久に「あの人ダイジョブ?」』と、書かれましたが、私は誰かの陰謀などと言及したことはありません。
むしろ、2008年4月24日の参議院外交防衛委員会での私の質問に対し、高村外務大臣や石破防衛大臣が陰謀論とか自作自演を言う言葉を用いているのです。
高村外務大臣は「やはり国連においても9.11というのは、まさにそういういわゆる謀略によって何かアメリカが自作自演でやったというふうには全くとらえられていないわけでありますし、そういう中で日本政府が今、(中略)直ちにこれを疑問を持って調査に入る、そういう事態ではないと、こういうふうに思っております。」と答え、
石破防衛大臣は「私は、むしろそれをやることによってだれが何を得るのだということ、真珠湾においてもよく謀略論というのがございますが、それをやることによってだれが何を得るのかということもよく理解をして検証してみなきゃいかぬだろうと思っております。(中略)新しい世界の秩序というのはどうつくるべきなのかというような視点からもいろんな議論、検証は必要だというふうには思っております。」
と答えており、陰謀論とか自作自演を言う言葉を用いているのです。私がそういう言葉を使っていないのに大臣の方でこういう言葉を使っていること自体に、潜在意識が見受けられます。
安手の陰謀史観ではない、現代史を謎に終わらせないための事実追求
私はこれらをまとめて「9.11テロ疑惑・国会追及―オバマ米国は変われるか?」(クラブハウス)を4月に出版しました。
本の帯に日本総研の寺島実郎会長が「9・11を合理的に直視・再考することの大切さ」として「安手の陰謀史観ではなく、粘り強く事実を追い求めることは、現代史を謎に終わらせないために不可欠である。世界には、主体的に時代を解析・考察しようとする様々な試みがある。それらに目を行き届かせながら自分の頭で考えることが、複雑な情報操作の時代を生きる要件である」と書いて下さいました。
4月8日の出版記念会には、鳩山由紀夫幹事長(当時)、輿石東参議院議員会長など30人以上の民主党国会議員の出席に加えて、谷川和穂元防衛庁長官・法務大臣などの自民党関係者、黒河内康元スイス大使などの外務省関係者を含む300人以上の方々にご出席いただきました。
出版記念会で私と対談して下さった政治評論家の岩見隆夫さんや森田実さんも、昨年からこの出版の後押しをして下さいました。テレビ朝日サンデープロジェクトのレギュラーの高野孟さんからは[9・11直後の第1報から『テロはどれほど被害が大きくとも犯罪の一種であり、戦争で対処しようとすれば泥沼に嵌る』と主張し続けています」。ジャーナリスト嶌信彦さんからは、「日本の国会での追及が世界へ発信され究明に動くというのは画期的なことです」というメッセージを頂きました。
ある県の知事からは「私は、9.11テロは自作自演ではないかと思っています。テロとの戦いへの大義が欲しかったのではないかと思います」とのメッセージを頂きました。
陰謀の歴史を解説する孫崎亨元駐イラン大使、前防衛大学校教授
私の本の直後に、駐イラン大使や駐ウズベキスタン大使を務めた元外交官で、3月末まで防衛大学校教授を務めた孫崎亨教授が、「日米同盟の正体 迷走する安全保障」(講談社新書)を出版しました。この外交のプロである孫崎さんが、南北戦争、真珠湾攻撃、9・11同時多発テロという陰謀の流れについて詳細に分析しています。
第2章「21世紀の真珠湾攻撃」は、FBIやCIAが、ビン・ラディンが米国の攻撃を計画しているという警告を度々発していたがブッシュ政権はそれを無視した、というアル・ゴア元副大統領の『理性の奪還』の引用から始まっています。
そして、
「9.11同時多発テロはある日突然、過激派のイスラム教徒が行動を起こしたという以上のものがある」。
「最強の軍事組織の堅持を望むグループが9.11同時多発テロの発生を誘発することはなかったのであろうか」。
そして、「おそろしい話しであるが、同時多発テロ事件が生じたとき、国防省、国務省の幹部は第二の真珠湾攻撃を歓迎する立場の人々が占めていた。勿論ブッシュ大統領も承知していただろう」と。
次に、孫崎教授は陰謀論の行使には大別して二つある、と解説しています。一つは偽旗工作(false flag operation)という、敵になりすまして行動し、結果を敵になすりつける。第二は敵が攻撃に出る際、敵の行動を誘発し、間接的にその実現を支援する。真珠湾攻撃は後者に属する。9.11同時多発テロに関しても後者との関連がしばしば指摘される、と。
さらに孫崎教授は陰謀の例として、アメリカがベトナム戦争に介入する契機となったトンキン湾事件と、米国軍部がキューバ攻撃を意図したノースウッド作戦を挙げている。
教授は、この章の結論として、「日本人は、謀略、陰謀的な動きがでると、それはありえないでしょうと思考を停止する。日本に対して「謀」を仕掛ける国からすれば、日本人が陰謀論、謀を一笑に付して、知識層がそうした戦略に何の考慮も払わないことくらいありがたいことはない」と締めくくっています。
ブッシュ政権の「過ち」に対する米国議会や国連、英国における検証の動き
冒頭で述べたブッシュ政治の検証の動きには以下があります。2009年2月アメリカ上院のリーヒー司法委員長は「ブッシュ政権による拷問の指示やイラク戦争開始などの8年間の“過ち”を検証する真理・和解委員会」の設置を提案しました。また、1月に国連の拷問に関する特別報告官のノワク教授は「ラムズフェルド元国防長官が拷問を承認したという充分な証拠があることを国連に報告した」と述べました。
1月には英国のミリバンド外相が「ガーディアン紙」に「“テロとの戦い”は誤りだった」という論文を寄稿しました。これまでにもブッシュ大統領の盟友のブレア政権で、イラク戦争や9.11の疑惑について発言して職を辞した主要政治家が3人もいます。ミーチャー元環境大臣、ショート元国際開発大臣、そしてクック元外相です。
日本を不幸にする年次改革要望書
ブッシュ政権の検証が日本で関心を高めているもう一つの理由は、ブッシュ政権の日本に対する軍事面以外の押し付けも明らかになってきたからです。米国政府が毎年、日本政府に対して規制や制度の改革を求める「年次改革要望書」です。これは内政干渉とも言えるアメリカの国益の追求で、日本の国益に反するものも多く含まれています。
例えば、郵政民営化は郵便貯金や簡易保険などの国民の財産を外資に売り渡す側面が強く、医療改革は、外資系保険を利することが目的となる一方で患者の医療費負担増や医療報酬減額が医療崩壊へと繋がっています。1999年の労働者派遣法改正により製造業への日雇い派遣が原則解禁となり、今日の「派遣切り」を容易にしました。主な要望は以下の通りです。
1998年 大規模小売店舗法廃止、大規模小売店舗立地法成立、建築基準法改正
いずれにしても、日本を含む世界の多くの人々の命と、生活と社会を大きく変えたブッシュ政権と歴史の事実の検証が必要です。皆様の更なるご協力とご支援をお願い申し上げます。
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