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ジョセフ・スティグリッツ教授(米コロンビア大学)講演会2016年03月17日

 2月にスティグリッツ教授宅に夕食に招かれた際にお願いした講演が今朝実現しました。以下は民主党の報告です。  党共生社会創造本部は17日朝、ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授を招き、東京都内で講演会を開いた。スティグリッツ教授は2014年に亡くなった経済学者の故宇沢弘文氏のシカゴ大学での教え子で、今回の訪日は宇沢氏の追悼講演を行うのが目的。宇沢氏が、かつて民主党が設立したシンクタンクの理事長を務めた経緯から、今回の講演会が実現した。  講演に先立ち、長妻昭代表代行が党共生社会創造本部の取り組みを紹介し、「『わが意を得たり』と思ったのは、スティグリッツ教授の説明資料の中に、『格差と戦う』とか『人間への投資の拡大』ということが書かれてあり、まさに私どもが考えている話と合致している。今日のお話から、格差の壁をどう取り除き、支え合う力をどう育み、日本が持続的な成長をするにはどうしたらいいのか、ご示唆をいただきたい」とあいさつした。  スティグリッツ教授は、自身と宇沢氏とのつながりを紹介し、宇沢氏の経済理論は、
(1)貧しい人たちのために経済がどう機能すべきかという社会正義 (2)世代の中の公正さ (3)平和への確信
に価値を置いたもので、スティグリッツ教授自身もこうした考え方を受け継いでいると説明。その上で「GDPの最大化は経済の目的ではなく、平等性が重要」などと述べた。  スティグリッツ教授は米国の現状について、「今ほど分裂していたことはない」として格差の拡大を指摘。たとえば、米国の失業率は5%程度とされているが実質的な失業率はもっと高く、賃金の伸びも停滞しているとした。その上で日本と米国は同じような課題を抱えていることをと指摘し、必要なことは「正しい消費を伸ばすための財政政策」であり、「完全雇用、インクルージョン(包摂)、差別をなくすこと」を実現することだと主張した。その具体策としては、炭素税や相続税などの税制、子育て支援や家庭支援、労働時間を短縮して労働を分かち合うこと、男女間の賃金格差を是正することなどが想定されるとした。  また、TPPについては、今回合意した協定内容は、米国内の一部の大手企業の利益のためのものとなっており、地球温暖化や社会正義などへの観点がなく、「21世紀の近代社会にふさわしい協定になっていない」などと批判した。  講演の後、岡田代表が「日本のGDPの2倍という過大な債務がある中、財政出動と財政健全化をどうバランスさせるべきか」と質問。スティグリッツ教授は、債務を増やさずに景気を刺激する方法としては税制の役割が大きいとの認識を示しつつ、消費増税については「状況をさらに悪化させる」などとして否定的な見方を示した。  司会は藤田幸久国際局長が務めた。 (民主党広報委員会) 20160317.04 20160317.05